「Geminiに微積分の問題を質問したら、数式が謎の記号になって返ってきた…」「物理の計算式をお願いすると、レイアウトが崩れて全く読めない…」
Geminiは理数系の学習において強力なパートナーですが、数式の表示(レンダリング)に関してはまだ不安定な部分があり、多くのユーザーが「数式崩れ」に悩まされています。
特に、LaTeX(ラテックス)形式のコードがそのまま表示されてしまう現象は、Googleの公式ヘルプでも「既知の問題」とされており、非常にストレスが溜まるものです。
本記事では、Geminiの数式が崩れる技術的な原因から、今すぐ試せる「綺麗に出力させる5つの対処法」まで実例を交えて解説します。
この記事を読めば、Geminiのストレスフルな数式崩れから解放され、Geminiを最高の学習・研究アシスタントとして使いこなせるようになるでしょう。
記事のポイント
- 数式崩れはLaTeX変換ミスやMarkdown競合が主な原因
- Python機能で「画像」にすれば確実に綺麗に見れる
- コピペ用なら「コードブロック」指定で生コードを取得
- 外部エディタへの貼り付けは公式も推奨する解決策
- 複雑な式は「ディスプレイ形式」指定で崩れを防ぐ
Geminiの数式が崩れる!表示されない主な原因

Geminiは高度なAIですが、Webブラウザ上で数式を表示する仕組みと、AIの出力形式の相性により、表示が不安定になることがあります。
- LaTeX(ラテックス)のレンダリングエンジンの挙動
- Markdown記法の解釈ミスと干渉
- ブラウザやデバイス環境との相性
- プロンプトの曖昧さによる判断ミス
ここでは、これらの主な原因について詳しく解説します。
LaTeX(ラテックス)のレンダリングエンジンの挙動
最も根本的な原因は、Geminiが数式出力に使用する「LaTeX」が、チャット画面上で正しく変換(レンダリング)されきらないことにあります。
Geminiは数式を $...$(インライン)や $$...$$(ディスプレイ)といったLaTeX記法で出力し、フロントエンド側でHTMLとKaTeXなどの数式レンダリング用ライブラリを使って教科書のような見た目に変換して表示していると説明されています。(参照:Gemini 公式ヘルプ)
しかし、Gemini公式のコミュニティでもたびたび報告されているとおり、Geminiはこの変換を常に完璧に行えるわけではありません。
とくに、リスト形式の中で数式を使う場合や非常に長い数式が含まれる場合など、特定のパターンではLaTeXと表示用フォーマットの変換処理に不具合が起き、生のコード(\fracなど)がそのままテキストとして露出してしまう既知の問題が報告されています。(出典:Gemini 公式ヘルプなど)
Markdown記法の解釈ミスと干渉
Geminiは回答を「Markdown(マークダウン)」という記法で整形していますが、この文法ルールと数式の記号・構造が組み合わさることで、表示崩れを起こすことがあります。
具体的には、数式内で使われる「アンダースコア(_)」や「アスタリスク(*)」のような記号は、Markdownでは「斜体」や「太字」の指定にも使われるため、状況によっては数式の一部が装飾指示として解釈されてしまうことがあります。

その結果、数式の一部が消えたり、意図しない箇所で改行されたりして、レイアウトが崩壊することがあるのです。
プロンプトの曖昧さによる判断ミス
ユーザー側のプロンプト(指示)が曖昧な場合も、Geminiが出力形式に迷い、結果として崩れやすい形式を選んでしまうことがあります。
数式を「文章中に埋め込む(インライン)」のか、「別行で大きく書く(ディスプレイ)」のかを指定しないと、AIはその場の文脈から自動的に判断するしかありません。

Gemini公式のコミュニティでは、数式の表示を安定させるために、カスタム指示やプロンプト内で「$...$ はインライン数式、...... はディスプレイ数式」といった区別を明示する解決策が、ユーザーから複数紹介されています。
この指定がないと、例えば複雑な行列計算を無理やり一行の文章の中に押し込もうとして表示が破綻するなど、可読性が著しく低下するリスクが高まります。
ブラウザやデバイス環境との相性
ユーザーが使用している閲覧環境、特にモバイルアプリ版での相性問題も報告されています。
Android版Geminiアプリなどでは、PCブラウザでは綺麗に見える数式でも、「LaTeXのレンダリングが正しく行われず生のコードが表示される」という報告が、Google公式コミュニティに寄せられています。
また、画面幅の狭いデバイスでは長い数式が適切に折り返されず、画面外にはみ出して読めなくなるUI上の問題もあります。
これらはGeminiのWebインターフェース側の最適化不足に起因する「環境依存の表示差」と言えるでしょう。
Geminiの崩れる数式を綺麗に出力させる5つの対処法

数式崩れの原因はシステムの仕様にありますが、ユーザー側の「使いこなし」で回避することが可能です。
- 【最強】Pythonコード(計算機)を使って画像として出力させる
- 【定番】「コードブロック」または「Markdown」形式を指定する
- 【閲覧用】ブラウザ拡張機能「TeX All the Things」を導入する
- 【編集用】外部のMarkdownエディタ(StackEdit等)に貼り付ける
- 【基本】数式表記のルール($$等)をプロンプトで厳格に指定する
ここでは、これら5つの効果的な対処法について解説します。
1. 【最強】Pythonコード(計算機)を使って画像として出力させる
「数式をただ綺麗に確認したい」「計算結果をグラフで見たい」という場合、これが最も確実な解決策です。
Gemini Advancedなどで利用可能な「Pythonコード実行機能」を活用し、プロンプトで「この数式をPythonのMatplotlibを使って、画像として描画してください」と指示します。
この方法では、Geminiは不安定なテキスト表示を行わず、内部でプログラムを実行して「画像データ」を生成します。
画像として出力された数式やグラフは LaTeX 用のレンダラを経由しないため、少なくとも現在Geminiで問題になっている種類の「数式崩れ」は回避できます。(出典:Gemini APIなど)
プロンプト例:
$y = x^2$ のグラフと数式を、Pythonを使って画像として出力してください。
2. 【定番】「コードブロック」または「Markdown」形式を指定する
レポートや論文のために「コピペできるLaTeXコード」が必要な場合は、この方法がベストです。
プロンプトの末尾に、「数式はLaTeX形式で書き、必ずコードブロックの中に記述してください」と付け加えます。
Geminiが数式を自動的に変換(レンダリング)しようとすることが崩れの原因になるケースもあるため、ここではMarkdownの「コードブロック( ``` で囲まれたボックス)」を指定し、あえて「変換しない生のソースコード」として出力させます。
公式コミュニティではレンダリングさせたい数式をコードブロックに入れないことが推奨されていますが、「生のLaTeXをコピペ用に取り出したい」という目的ならこの方法がもっとも確実です。(出典:Gemini 公式ヘルプなど)

プロンプト例:
シュレーディンガー方程式をLaTeX形式で書いてください。レンダリングせず、コードブロック内に出力してください。
3. 【閲覧用】ブラウザ拡張機能「TeX All the Things」を導入する
「毎回指示するのは面倒」「過去のチャットも綺麗に見たい」という方には、ブラウザ拡張機能の導入も有効です。
「TeX All the Things」のような、ページ内の LaTeX を検出してブラウザ側で MathJax や KaTeX などを使ってレンダリングするタイプの拡張機能は、Webページ上の「生のLaTeXコード」を自動的に数式表示に変換してくれます。
これを有効にすれば、Geminiがレンダリングに失敗しても、ユーザー側で補完して美しく表示できる場合があります。
いずれもサードパーティ製であり Gemini 公式機能ではなく、動作も環境によって異なる点には注意が必要ですが、理系ユーザーには有力な補助ツールになりえるでしょう。
サードパーティ製のため動作保証はありませんが、理系ユーザーには強力な補助ツールです。(出典:Reddit)
4. 【編集用】外部のMarkdownエディタ(StackEdit等)に貼り付ける
Gemini上の表示にこだわらず、出力されたテキストを外部のエディタにコピーして確認する方法も、公式ヘルプで推奨されています。
StackEdit、Overleaf、VS Codeなどのエディタは数式表示が非常に安定しており、Geminiのような崩れは起きません。
Geminiに「数式を含む解説をMarkdown形式で作成して」と指示し、出力されたテキストをコピーして外部エディタに貼り付けるだけで、完璧に整形されたドキュメントが完成します。

5. 【基本】数式表記のルール($$等)をプロンプトで厳格に指定する
ツールを使わずプロンプトだけで完結させる、最も基本的なテクニックです。
具体的には、「数式は必ずディスプレイスタイル($$で囲む形式)で出力してください」と指示します。
複雑な数式を無理に文章内に埋め込む(インライン形式)と崩れやすいため、強制的に別行立て(ディスプレイ形式)にすることで、表示スペースを確保し、Markdownとの干渉リスクを減らします。
とくにスマホでの閲覧時には、これだけで読みやすさが劇的に向上します。
プロンプト例:
解の公式を導出してください。途中の数式はすべて $$ で囲んだディスプレイ形式で出力してください。
総括:Geminiの数式が崩れる問題を解消して快適に学習しよう
記事のポイントをまとめます。
- Geminiの数式崩れはLaTeX変換不全やMarkdown競合による「既知の問題」
- Pythonで画像生成させれば、レンダリング問題を回避して確実に確認できる
- コピペ素材用なら「コードブロック」に出力させて生のLaTeXを取得するのが鉄板
- 外部エディタ(Overleaf等)への貼り付けは、公式も推奨する確実な確認手段
- 複雑な数式は「ディスプレイ形式($$)」を強制してレイアウト崩れを防ぐ
今回紹介したテクニックを駆使して、Geminiを使いこなしましょう。
数式崩れのストレスから解放された、快適なAI研究・I学習ライフを送ってください。
