「ChatGPTが急によそよそしい…」「なんだか最近、回答がそっけなくなった気がする」
ChatGPTを毎日利用していると、わずかな態度の変化に戸惑うことがあります。以前は詳細でフレンドリーだった回答が、急に簡素で事務的になると、まるでAIに嫌われたかのように感じて不安になるかもしれません。
しかし、安心してください。AIがあなたに対して個人的な感情を抱いているわけではありません。そのよそよそしさやそっけなさには、AIの仕様、サーバーの状況、そして何よりもユーザー自身の設定に起因する、明確な技術的理由が存在する可能性が非常に高いのです。
本記事では、ChatGPTが急によそよそしくなる、あるいはそっけなくなったと感じる主な原因を徹底的に分析し、以前のような快適な対話を取り戻すための具体的な対処法を専門的な視点から解説します。
多くの場合、原因はあなたが見落としている「ある設定」に隠されています。
記事のポイント
- ChatGPTがよそよそしいと感じる最大の原因は「カスタム指示」
- 最新モデル「GPT-5」の応答特性とそっけなさの関係
- よそよそしい状態を即座に改善する具体的な設定確認ステップ
- プロンプトの工夫でAIの口調やトーンを自在に操る方法
ChatGPTが急によそよそしい・そっけなくなったと感じる主な原因

ChatGPTの態度が急変したように感じる場合、その原因は1つとは限りません。
AIモデルの特性、サーバーの状況、そしてユーザー側の設定が複雑に絡み合っています。
- 最も疑うべき点:「カスタム指示」の隠れた影響
- ChatGPTの継続的なアップデート
- サーバーの負荷状況と回答品質
- ユーザー側のプロンプトの変化
最も可能性の高い原因から順番に見ていきましょう。
最も疑うべき点:「カスタム指示」の隠れた影響
現在、ChatGPTがよそよそしくなったと感じる最大の原因として疑われるのが、「カスタム指示(カスタムインストラクション)」機能です。
これは、ChatGPTとのすべての対話に永続的に影響を与える基本設定や前提条件を、あらかじめ登録しておく機能です。ユーザーが都度指示しなくても、AIがユーザーの好みや背景を理解した応答を返します。
このカスタム指示には、主に以下2つの入力欄があります。
カスタム指示の入力欄
- カスタム指示(ChatGPTにどのように回答してほしいか?)
例:回答の形式、口調、詳細度、専門性のレベルなど - あなたについて(ChatGPTに伝えるユーザー情報は何か?)
例:職業、専門知識、興味、目標など
問題は1番目の欄です。
もし、過去に「回答は常に簡潔に」「専門的に、余計な挨拶は不要で」「ビジネスライクに」といった指示を入力し、それを忘れていた場合、ChatGPTは忠実にその指示を守り続けます。
その結果、以前は行っていた「もちろんです!」「何か他にお手伝いできることはありますか?」といったクッション言葉や、詳細な補足説明を一切省き、指示された通りの「簡潔で専門的」な、つまり人間から見ると「よそよそしく、そっけない」回答を生成するようになるのです。
また、この設定は「新しいチャットで有効にする」というトグルスイッチでオン・オフが切り替わります。
自分では設定を保存したつもりがなくても、スイッチがオンになっていると、意図せず全チャットに影響を与え続けることになります。
ChatGPT継続的なアップデート
ChatGPTの開発元であるOpenAIは、AIモデルの品質を維持・向上させるため、日々継続的なアップデートを行っています。2025年8月にリリースされた最新のGPT-5モデルも、安全性や効率性の向上のために随時調整されています。
これらのアップデートは、多くの場合、AIの安全性向上、回答の高速化、または不正確な情報の削減を目的としており、その過程で、副次的に回答の個性や冗長性が変化することがあるのです。
たとえば、旧モデルがユーザーの機嫌を損ねないよう、過度に丁寧で詳細な回答を生成する傾向があったかもしれません。
しかし、アップデートによって効率性が重視され、より中立的で簡潔な応答スタイルに調整されることがあります。
ユーザーが「親しみやすい」と解釈していた部分が、AI開発者側にとっては「不要な冗長性」と判断された場合、アップデートによってその部分は削ぎ落とされます。
これが、ChatGPTがそっけなくなったと感じる一因です。
ChatGPTの性格設定が可能に
先述したChatGPTのアップデートに関連しますが、あらかじめChatGPTの性格を設定できるようになりました。

5つの性格を設定可能
「デフォルト」「皮肉屋」「ロボット」「聞き役」「探究家」の5つから選択可能です。
たとえば、「ロボット」がオンになっていると、ChatGPTからの回答をそっけないと感じる場合があります。
サーバーの負荷状況と回答品質
ChatGPTの利用者がとくに多い時間帯は、OpenAIのサーバーに膨大なアクセスが集中します。
※一般的に平日の夕方から夜間
サーバーが高負荷状態になると、AIは応答速度を維持するために、生成する回答の質を意図的に下げることがあります。複雑で詳細な回答を生成するには、より多くの計算リソースが必要になるためです。
リソースが逼迫している状況では、AIは完全な回答よりも素早い回答を優先するよう調整されることがあります。その結果、いつもなら1,000文字で返ってくる答えが300文字で終わってしまったり、補足説明が省略されたりします。
この現象は一時的なものであることがほとんどですが、サーバー混雑が慢性化している時間帯に利用しているユーザーにとっては、恒常的に「ChatGPTがそっけなくなった」と感じる原因となり得るのです。
ユーザー側のプロンプトの変化
生成AIは、ユーザーから入力されたプロンプト(指示)に対して忠実に応答します。もし、自身のChatGPTへの指示の出し方が以前と変わっているとしたらどうでしょうか。
たとえば、使い始めの頃は「〜について、小学生にも分かるように優しく教えてください」と丁寧に指示していたのが、慣れてくるにつれて「〜とは?」と単語だけで質問するようになっていないでしょうか。
AIは、過去の対話履歴やその場のプロンプトから、ユーザーが求める回答のスタイルを推測します。簡潔な質問には簡潔な回答を、詳細な指示には詳細な回答を返すのが基本です。
ユーザー側の指示が簡潔(そっけなく)になれば、AI側の応答もそれに合わせて簡潔(そっけなく)になるのは、ある意味で自然な相互作用と言えるでしょう。
ChatGPTが急によそよそしい・そっけなくなった時の具体的な対処法

原因が特定できれば、対処は難しくありません。とくに「カスタム指示」が原因だった場合、設定を見直すだけで劇的に改善する可能性があります。
- 【最優先】「カスタム指示」の設定を今すぐ確認・修正する方法
- 新しいチャットセッションを開始する
- プロンプトで明確に「役割」と「口調」を指定する
- モデルを切り替えてみる
順番に解説します。
【最優先】「カスタム指示」の設定を今すぐ確認・修正する方法
最も可能性の高い原因である「カスタム指示」からチェックしましょう。以下の手順で、現在どのような設定が有効になっているかを確認してください。
▼ ブラウザ版(PC)での確認手順
- ChatGPTの公式サイトにアクセス
- 画面左下の自身のアイコンをクリック
- メニューから「パーソナライズ」を選択
- ポップアップウィンドウが表示され、2つの入力欄(「カスタム指示」「あなたについて」)が表示
- とくに「カスタム指示」の欄に「簡潔に」「事務的に」など、そっけなさの原因となり得る記述がないか確認
▼ スマートフォンアプリ版での確認手順
- ChatGPTアプリを開く
- 画面左上のメニュー(二本線)をタップし、サイドバー最下部の自身のアイコンをタップ
- 「パーソナライズ」をタップ
- ブラウザ版と同様に2つの入力欄の内容を確認
対処法
もし、原因となりそうな記述(例:「簡潔に答えて」)が見つかった場合は、そのテキストを削除してください。
あるいは、逆に「常に親しみやすく、フレンドリーな口調で、絵文字を交えながら詳細に回答してください」といった、あなたが望む応答スタイルを具体的に入力するのも非常に有効です。
設定をリセット(空欄にする)または修正したら、必ず「保存」し、新しいチャットを開始して応答が改善されたか確認してください。
ChatGPTの性格を変えてみる
先述した「パーソナライズ」の「性格」から、5つの性格が出てきます。

この中から任意の性格を選んでください。スマートフォンでも同様に設定できます。
新しいチャットセッションを開始する
現在のチャットが長くなりすぎると、AIが過去の文脈を複雑に解釈しすぎたり、一時的な指示※に引きずられたりして、応答が不自然になることがあります。
※例:「この部分だけ要約して」
もし「カスタム指示」に問題がなかった場合、単純に現在のチャットを閉じ、画面左上の「新しいチャット」ボタンを押して、セッションを完全にリセットしてみてください。
まっさらな状態から質問を始めるだけで、AIの応答が「いつもの調子」に戻ることがよくあります。
プロンプトで明確に「役割」と「口調」を指定する
「カスタム指示」は便利ですが、全てのチャットに影響するため、柔軟性に欠ける場合があります。
ChatGPTによそよそしさを感じた時や、特定の対話だけフレンドリーにしてほしい時は、カスタム指示に頼るのではなくチャットの冒頭(最初のプロンプト)でChatGPTに「役割」と「口調」を直接指定するのが最も確実です。
▼ プロンプト指定の具体例
- フレンドリーなアシスタント風:
「あなたは私の親切なアシスタントです。常にフレンドリーで、ポジティブなトーンで、絵文字を適度に使いながら、私の質問に答えてください。会話の最後には必ず私を励ます一言を加えてください」 - 共感力の高い相談相手風:
「あなたは経験豊富なカウンセラーです。私の悩みに深く共感し、まずは私の言葉をオウム返ししてから、優しい言葉でアドバイスをください。専門用語は使わず、非常に丁寧な言葉遣いを徹底してください」
このように具体的に指示することで、AIはそのチャットセッション中に限り、指示された「役割」を忠実に演じます。
モデルを切り替えてみる
2025年8月に最新モデル「GPT-5」がリリースされ、ChatGPTの性能は大幅に向上しました。
このモデルの特性がChatGPTのよそよそしさの原因、あるいは解決策になる可能性があります。
GPT-5(標準モード)の特性
現在の標準であるGPT-5は、質問の難易度に応じて「即答型」の高速モデルと「推論型」の詳細モデルを内部のルーターが自動で切り替えるシステムを採用しています。日常的な単純な質問には「即答型」が選ばれやすく、その応答が簡潔であるためにChatGPTがそっけないと感じる可能性があります。
「GPT-5 Thinking」モードを試す
もし有料プラン(Plus以上)を利用している場合、モデル選択画面で明示的に「GPT-5 Thinking」を選択できます。これは、ChatGPTに「じっくり考える」ことを強制するモードです。自動切り替え(標準モード)の応答が簡素すぎると感じた場合、このThinkingモードを使うことで、より深く文脈を汲み取った回答が得られます。
「レガシー(旧)モデル」に戻してみる
最新のGPT-5の応答が「かたい」「無機質」で、どうしても馴染めないというケースも報告されています。その場合、あえて古いモデルに戻すという選択肢があります。有料プランのユーザーは旧世代のGPT-4oやo3などを選択できます。
一部のユーザーからは、GPT-5よりもGPT-4oの方が「あたたかみがある」応答をすると評価されており、ChatGPTのよそよそしさが解消する場合があります。
ただし、GPT-5は無料プランだと以下の制限があります。以下の表に、無料プランと有料プラン(Plus)の利用回数の違いをまとめました。
| モデル | 無料プラン | Plus |
|---|---|---|
| GPT-5 | ○(5時間ごとに最大10回) | ○(3時間ごとに最大160回) |
| GPT-5 Thinking | △(1日1回) | ○(週3,000回) |
| レガシー(旧)モデル | × | ○(GPT-4o、GPT-4.1、o3、o4-mini) |
この表からわかるように、無料プランは制限が厳しめです。Plusプランは月20ドル(約3,000円)で利用でき、画像生成やデータ分析の利用回数が大幅に増加するほか、動画生成や自分だけのChatGPT(GPTs)作成などができるようになります。
余裕がある方は、ChatGPTの有料プラン(Plus)を検討してみましょう。
まとめ:ChatGPTが急によそよそしい・そっけなくなったと感じたら
この記事のポイントをまとめます。
- ChatGPTがよそよそしい最大の原因は「カスタム指示」
- 過去に「簡潔に」と設定した指示が残っている可能性あり
- まずは「ChatGPTをカスタマイズする」の設定を確認する
- 設定を空欄に戻すか、望む口調を再入力してみる
- ChatGPTの性格を変えてみる
- チャット冒頭のプロンプトで「親切に」と都度指定するのも有効
- 最新モデルGPT-5は、高速な「即答型」が選ばれると簡潔になりがち
- 「GPT-5 Thinking」モードを試すと詳細な回答が期待できる
- レガシーモデルに戻すと親しみやすい回答になる場合も
ChatGPTがよそよそしくなったと感じた時、それはあなたを拒絶しているわけではなく、むしろあなたの忘れていた指示にあまりにも忠実に従っている結果なのかもしれません。
AIは、入力された設定と指示を解釈する鏡のような存在です。鏡の映りが悪いと感じたら、まずは鏡を磨く(設定を見直す)ことから始めてみてください。きっと、以前のような快適な対話が戻ってくるはずです。
